Chez Yasmeen -- bellydance and other things

伝えるということ 〜 岡山発表会

伝えるということ

集合写真

(出演者集合写真:クリックで拡大)


ひょんなことからベリーダンスを教えることになって、いろいろと迷いつつも1年半以上がたち、初めての発表会というのものを岡山にて開催。いろいろと思うところあったので、長々と書いてみようと思う。退屈かもしれませんので、長文の苦手な人はどうぞとばしてくだされ。こんな長文、ネットで読んだら目が疲れるでしょうよ、と自分につっこんでしまう。くらい長いよ。



今年の6月には、色々なこと(誕生日とか初めての発表会とか龍貴との生活とか)がタイミングを見計らったようにいっぺんに起こり、全然別々に思えていたいくつかのことが、私の頭の中でぱっちーんとつながった。年をとるって、こういうことなのか〜!と、生まれて初めて少しだけ分かったような気がした。


ダンサーとして、技術的にも精神的にも未熟な状態で、私はベリーダンスを教えはじめた。その頃の私は広告代理店で普通に働いていて、還暦間近という年齢で生まれて初めて岡山に暮らすことになった母が精神的にとてもしんどそうにしていたために、母を励ますために足しげく岡山に通っていた。国内とはいえ、毎月1回ということになるとなかなか交通費もばかにならんねーという感じになり、たまたま倉敷でトルコ人のだんなとトルコ料理店を初めた従姉妹のゆきちゃんのお店で(っていうのも、偶然とは思えないような偶然ではあるんだけど)踊らせてもらっていたら、ショーを見た数人の女の子がぜひとも習いたいと言ってくれて、まあひっそりと教えてちょっとでも交通費の足しになったらいいなーと思って、教えはじめた。
とはいえ、その頃はあまりにも“私なんかの分際で教えるなんて!”と思っていたので、そして“こんなに好きなことを、ビジネスにしてしまうことで嫌いになったらどうしよう!”とも心配していたので、ひたすらにこっそりとひっそりとを心がけていた。東京では、ごくごく身近な人にしか教え始めたことを言わなかった。

けれども、世間はなぜかベリーダンスが密かなブーム。あれよあれよという間にこんな田舎でひっそりと教えていた私のところでさえ生徒さんが増え、空き時間にレストランを借りるだけではあっという間に足りなくなって、外のスタジオを借りるようになり、土曜日だけでは足りなくて日曜も教えるようになり、最近では金曜日の夜にもクラスを増やしたうえに、キャンセル待ちまでしていただくようになってしまった。かたじけない。
しかし、こんなにも順調に進んでいたなかにあって、小心者の私はずっと悩みっぱなしだった。本当にこんな私でいいのだろうか??? 誰に聞かれてもきちんと言っていますが、私の踊りは正当派の伝統的ベリーダンスではありません。若い頃に7年近く続けていた新体操が、何をどうしたって影響を与えずにはいられないわけだし、性格的にもかちりかちりと決まったものを全力では楽しめない。それから、東京でのベリーダンスの教室というものの雰囲気がどうしてもどうしても快適に感じられなくて、しばらくひとつのスタジオに通っても(というほど幾つも通ってませんが)、“このスタジオのメンバーなのねー”というように認識されはじめると面倒くさくなって行くのをやめてしまう、というへなちょこさも影響していて、(今ならもうちょっと強気でいられるかも。こういうのも、自分の中の段階ってものがあるよなあ。)ものすごく自分のスタイルで踊ってるのだ。そして、私は自由気ままに自分の好きなスタイルで踊りながら、それを好きと言ってくれる人のところで踊れればそれでいいやーと、思っていた。

そういうわけなので、私には“この人こそ私の師匠でごんす!”みたいな人がいない。強いて言えば、私がベリーダンスを始めるきっかけとなったアレグラ(当時はジェインという名前だった)だろうか。彼女とは、後になって考え方に同感できないようになってしまって通うのをやめてしまったのだが、私は彼女のところで始めたからこそこんなにもまっすぐにベリーダンスに辿り着いたと思える。あのいい加減で暖かい雰囲気とか、ジェインを含めその頃一緒に習ってたこたちみんなとレッスン後にごはんを食べたこととか、代々木公園で裸足で踊ったときの草のにおいとか、みんなで逗子海岸に野宿をして踊り明かしておまわりさんにしかられたこととか、その海に行く途中の電車の中でさえ待ちきれずにダラブッカをたたいて踊り始めてしまったこととか、本当に本当に大切な思い出で、そういうのも全部含めて、私の中ではベリーダンスというひとつのものが形作られている。今、私自身が教えながら、それぞれの生徒さんの個性をとても簡単に受け入れられるのは、やはりあの時に私の中でかたちづくられた、自由な踊りへの渇望だったと思えてしかたない。

が、教え続けているうちにだんだん不安になってきた。あまりにも、みんなの踊りが私に似てきたのだ。(あたりまえか?)岡山という、あまり(というかほとんど)他のダンサーを見るチャンスもないところで、私の踊りだけを見て、ベリーダンスを勉強して来たこたちが、色々な意味で私に似てくるのは、いとおしい反面、とってもこわいことだった。この愛おしさがなかったら私は教えて続けていなかっただろうなーと思うし、この怖さがなかったら本当にみんなにとっていいことは何なのだろうと真摯に考えもしなかったかもしれない。というくらいに、強く感じていた。
できるだけ色々なダンサーのパフォーマンスを、ネットでもDVDでもいいから見てね〜としつこいくらいに言い続けてきたものの、なかなか生で見る動きのイメージの強さにはなかなか勝てないらしく(分かるけど)。自分に合ったスタイルの先生を見つけるまで、色々なスタジオを試してみることが可能な東京でベリーを習い始めた私にとっては、他の先生を知らないみんなに申し訳ないような気持ちさえしていた(って私が詫びてもしかたないんだけどね)。

などと言いながらも、生徒さんが増えるのに合わせてネットも活用するようになり、mixiなども始めてみたりして、2007年には昼間の仕事を辞めてトルコに勉強しに行ったのを機に(そして当時一緒に暮らしていたボーイフレンドが実はものすごく悪い人だったことが発覚したショックも手伝って)、貧乏覚悟で思い切ってプロになってみたりもして、だんだんと東京でも“教えてるんです〜”とふっきれて口にできるようになってきた。このごろではブームのおかげでスポーツクラブなんかでもベリーダンスクラスができて、大御所以下のベリーダンサーでも結構ちょこちょこ教えているっていうのも手伝っていると思われる。そして、そろそろ私の夢だった(そして生徒さんの夢でもあった、と思いたい)発表会というものをしてみるか、と思うようになった。

で、発表会である。
細かいことは省くけれども、結論からいうと、とにかくみんなが練習よりも格段に素晴らしかった!!
練習の時の方がよかったのに残念ーという人は、ただのひとりもいなかった!!!
みんな、ものすごく目がきらきらしていて、頬は紅潮してぴかぴかしていて、動きはのびやかに広がっていて、すごーく自然なすばらしい笑顔をしていたので、私が独身男性だったら、どの子に恋していいか迷ってしまって全員を口説いたあげく全員に玉砕、みたいな馬鹿な行動に出るんじゃないかと思うような魅力満載の時間だった。
これは、なんというか、すごいことではないでしょうか?
少なくとも、私の新体操の経験に比べると、ものすごいことだ。私の新体操の思い出といえば、大会当日になると失敗ばかりをしてしまって、がっくりと自己嫌悪、みたいなもんばっかりだった気がする。
もしもこれが、振付けばっちりで、腕の角度や目線の位置までばっちりと決められて、おまえ間違えるなよ〜というようなプレッシャーの中の発表会であったら、少なくとも半分以上の子が踊った直後に自己嫌悪…というようなことになっていたに違いない。

月に一度しか会うことができない私と生徒さんの限られた関係の中で、私は一番教えたいことをはっきりさせようと思ってきた。それは、ベリーダンスを愛し、楽しむことだ。何を伝えられなくても、それだけは伝わりますようにと、ずっとずっと、それはもうよちよち歩きで教え始めた頃から、言い続けてきた。どうぞ、この素敵な踊りを好きになってくだされ。
そして、それがかたちになっていると、この発表会で確信した。ガッツポーズをしたいくらいだった。
今私の目の前で、この素敵な表情で踊っている美しい女の子たちは、私が岡山で教えていなかったら、踊っていなかったかもしれない。こんなに素敵な表情をする機会がひとつ減っていたかもしれない。
そう思った瞬間に、続けたことは無駄ではなかったー!と心から思った。
これが、伝えるということか!と、ぴかーんと頭の中にあった豆電球に灯がともった感じだった。
教えるということは、何も天才だけの特権ではない。教えるということは、伝えるということなのだ。伝えるということは、歴史が流れ続けるかぎり必要なことであり、誰もが、自分の今持っている一番素晴らしいものを、できるだけ良い形で、次の世代とか、まだそれを知らない人々に、気前よく伝えていくべきなのだ。出し惜しみをしてはいけない。どんなレベルのものだって、それを伝えるべき人がいる。ちょうどお芝居の中には主役と同じように脇役が必要であるのと同じだ。私は、私の役割を、全力で果たせばそれでいいのだ。
そして、この数日に感じ続けていたもうひとつの感覚を、鮮やかに思い出した。

甥っ子の龍貴(2歳と1ヶ月、まだおしめしてます)。
千葉にいる妊娠中の姉の体調がすぐれず、とうとう龍貴ひとりをしばらく岡山に預かることになった。飛行機が不安だというので、今回の私の帰省に合わせて母とふたりで岡山につれて来て、父と母と私の3人でちびっこの面倒を見るという奇妙な生活が始まった。
今までただのことわざだと思っていた“泣く子と地頭には勝てない”というのを、現実の感覚として再認識する日が来ようとは思わなかったよ。って感じです。いや、地頭の方ではなく。
しかし、教えたことをすうっとのみこむことに驚いた。この小さな生き物は、毎日少しずつ少しずつ、新しいことを試し、失敗し、やがて成功して、成長している。大人である私たちにとっては何でもないようなことを、じっと見て、聞いて、吸収している。これは、なんでもないことが、なんでもないようにして伝えられている瞬間を、日々目の当たりということだ。こんなに何でもないことなのに、もしもまわりに大人がひとりもいなかったら、龍貴がひとりぼっちだったら、階段の降り方さえ、お菓子の袋の開け方さえ、発見するのにもっと何十倍もの時間や試行錯誤が必要に違いない。
母が
“子供を産んで、育てて、その子が独立して、ああやっと落ち着いたー、とほっとした後に、急に自分は誰にも必要とされていないんじゃないかと寂しくなってたら、ちょうどその頃にお世話してくださーいって孫が現れて、生きる力がわいてきて。人生ってうまくできているのねえ〜。”
としみじみと言っていて、本当にその通りだと思った。
岡山にいる間、私よりも早く起きる龍貴が毎朝、ものすごーく嬉しそうに、ものすごーく恥ずかしそうに私の部屋のドアをあけて横歩きで入ってくる。その顔を見て、その小さなぷっくりとした手や足で抱きつかれると、かわいすぎて気が狂いそう。そして、ああ、ここに命が伝わっているなあ〜と感じる。

世の中に“親”という肩書きを持つ人は星の数ほどいて(私はりゅーきの親ではないが)、その全員が天才ではないけど、みんな自分が伝えられるもののすべてを、惜しみなく分け与えている。そして自分が与えられない分をなんとか補うべく、学校の先生とか、習い事の先生とか、お坊さんとか、よく分からないけど、他の、自分とは違う経験を持っていて、それを子供に分け与えてくれる人にたいして、その人がその経験を得るために費やしたお金や時間や努力や、そういうものの代価として、お金を払うのだ。そして、子供がそれによって素晴らしい経験を得て、それをまた素晴らしい形で別の誰かに伝えられるように。
それがずっとずっとずう〜っと続けられているのだ、世の中は。
人は、伝えてもらい、そして伝えて生きていくのだ。

だから、私は自分が天才でないことを気に病んで、教えることによってお金をもらうことに気後れするのをやめようと思った。それは傲慢になるということではなく、今まで私が費やしてきたものに対する代価と思い、またそうしていただいたお金を、別な人のさらに素晴らしい経験の代価としてまわしていけばよいと思う。

今は、自分が伝えることのできるもっとも良いものを、伝えることに集中しようと思う。父と母は、自分の持っているすべてを、孫に伝えることに集中している。姉は、夏に生まれてくるちびちびちゃんに伝えることに集中している。誰もにそれぞれの役割があって、その役割というものは、多かれ少なかれ、誰かに何かを伝える、ということで説明できるのではないかと思う。
そうだ、人生は、伝え、伝えられるということの、繰り返しで構成されているのだー!
と、こういうぴかっ!みたいな瞬間がお誕生日に突然やってきたのもなんだか不思議で、神様(みたいな人)が、君はそろそろこういうことを学ぶ時期じゃろー、と大奮発してプレゼントしてくれたとしか思えない瞬間だった。

そしてまた偶然にも、数日後にたまたま、ネットの某有名ゴシップサイトにて自分の名前があがっているのを発見してしまって、たいしたことは書かれていないにも関わらず小心者の私はそれを見てから3時間くらい(っていうのもビミョーな時間だ)はが〜んと落ち込んでいたんだけど、案外あっさりと立ち直れたのもこの体験があってのことだと思う。
これを読んだ好奇心旺盛な方はググってしまったりするんじゃないかと思うので自己申告してしまいますが、“このベリーダンサーのブログめちゃくちゃな英語で書かれていて笑えるけど、日本人ってこうやって陰口たたかれるのが怖くて書かないから勇気はえらいと思うよ”ってなコメントでした。
陰口たたいてる本人にほめられるのもなんていうか…君は何様じゃい(笑)

ああ、熱く語ってしまった。
こうして言葉にしてしまうとなんだか、あまりにも当たり前すぎるほど当たり前のことなんだけどね。なんで今まできづかなかったんだ?
でもまあ、死ぬ前に気づけてよかったよ。階段を1段、のぼった気分です。
発表会、踊ってくれた方々も、見に来てくれた方々も、どうもありがとう。
りゅーきもありがとう。



なんだか、発表会について書いてるのに“XXXちゃんはこれこれこういうとこがよかったよー”みたいなコメントじゃなくてすまん。細かい感想など、聞きたい人は個別に聞きに来てください。
以下、ざっくりと写真を載せますが、私はカメラをのぞくよりも生でしっかり見たかったので、あまりいい写真がとれませんでした。お気に召さない写真が掲載されていたらごめんなさい。あと、自分の写真がないよーという人もごめんなさい。ちゃんと映っている写真が一枚もなかったごめん!っていう人が何人かいます。
それから、撮った写真をどこかネット上にアップしている人で、このブログでアナウンスしてもOKという人はぜひご一報ください。みんなでシェアしましょう♪


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COMMENT

先生の文章を読んで、感動して泣いてしまいました!(大学の研究室で研究をさぼってこっそりブログを読んでいたのに、こっそりどころではなくなってしまった笑)
私のミクシィの日記、適当な感じでごめんなさい。日常生活で触れ合う方々には、「ベリーダンスはちょっとした趣味です。」と言っているためあんまり書けなかったのです。文章力が無いというのも理由ですが。
先生のダンスを愛する気持ちはレッスンやショーを通してひしひしと伝わってきております!この文章で本当にダンスに対するモチベーションあがりました。精進します!

誰かが何かを始めるきっかけを作ってあげられるって
すごく素晴らしい事だと思います!。

私も一度しか拝見していませんが、
大ファンになっちゃいました!。
そして踊りたい!という気持ちになりました。

これからもyasmeenさんのダンスでたくさんの人を
楽しませて感動をあげてくださいね♪。

>salujuちゃん
どうもありがとう!こんな長い文章を読んでくれるだけでも感謝なのにー。
決して“みんなもっとまじめにやれよー”っていう趣旨の文章では全然ないのですが、励みになったと思うと嬉しいです♪
Salujuちゃんは一番長いメンバーの一人で、最近は受付のお手伝いもしてもらったり、ダラブッカ奏者を発掘してくれたり(笑)と、すごーくたよりにしてます!
これからも頑張っていこうねー:)
ちなみに、ウードも始めるの???

>アイさん
どうもありがとうございます。踊りたい!と思ってもらえるのは本当に嬉しいです♪レッスンでまたお会いできるのを楽しみにしています。

ゆっくり読ませていただきました♪最初は恥ずかしすぎてどうしようと思ってましたが、すっごく楽しむことができました!ステキな機会を与えてくださりありがとうございます♪はじめてyasmeenのベリーダンスを見たとき本当に魅力的で私もこんな風に魅力的に踊ってみたいと思いました♪
yasmeenじゃなかったらここまでやりたいと思わなかったかもしれません。伝えるということ☆本当に大切だと思います。
いろんな文化や考えも含め、小さいと思われることでもなんらかの影響を人に与えてるんですよね☆そこからその人の生き方や考え方、人生そのものを変えてしまうこともありますよね。
 私も何か伝えていけるようにしっかり、楽しく生きて行けたらと思います。
 yasmeen styleのベリーダンス最高です♪
これからも一緒に楽しみたいです^^

おひさしぶりです(^^
発表会成功&お誕生日(新しい人も!)おめでとうございます
「自分が持ってるものを、気おくれしないで精一杯伝える」ってすごく素敵なことだと思います。そしてそれを受けとめてくれるひとがたくさんいて、ほんとにすばらしいことですね。
愛をかんじましたー!自分もそんな愛情をもちたいなー!!

>manamiちゃん
無事に上高地についたのね、よかった!
私の踊りを好きでいてくれてどうもありがとう。そういってくれる人のために、ちょっとずつ精進していきます。manamiちゃんの今後の活躍も、ブログで見るのを楽しみにしてまーす。

>xialiちゃん
うわー、ほんとお久しぶりですー♪最近はどうしてるのー?
愛を感じてくれたんだー、ありがとう!愛情さえ持っていればなんでもうまくいくっていうわけではないところが難しいけどねー。愛情さえもってればうまくいかなくっても乗り越えられる、ってところでしょうか。人生は奥が深いわー。

元気にやっております!!!もちろん踊ってマス(^^
愛情があると乗り越えられる、ほんとそんなかんじだーいいせりふだなぁ

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