Chez Yasmeen - ヤスミンのベリーダンスブログ

東京在住のベリーダンサー、 ヤスミンのブログ。六本木ヒルズ近く、麻布十番のベリーダンススタジオ Chez Yasmeenを運営。各種レッスン・ショー活動ほか、ママのための子連れベリーダンスクラスも開催。ホームページはwww.yasmeen.co.jpへお越し下さい♪

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3日目 ー 5月14日(土)
いざ、イスタンブールへ

風がとととん、と窓をたたく音で目が覚めた。外はまだ暗い。
フランスの朝は始まるのが遅く、夜が長い。
暗くなってからは歩き回らないように、と言われていたが、街が完全に暗くなるのは9時をまわるあたりだろうか。
一日がとても長く感じられる。

今日はいよいよトルコに出発だ。
あんなに楽しみにしていたのに、なんとなく面倒くさくなってしまい、体がだるくて重い。
パリの街を、ふくらはぎがぱんぱんになるまで意味もなくうろうろとする、そんな日々が一生続くような気分がしていたのに。
何も考えずにただ体を疲れさせて、部屋に戻ってから疲れた体に耳を傾け、今、何がしたいのかを聞いてあげる。
シャワーか、睡眠か、マッサージか。
肉体と相談して次に何をするか決めるという、そんなシンプルな日々を送りたい気分だった。

8時きっかりに朝食を食べに行くと、食堂にはもうひとり、中年の日本人女性がいるだけだった。
軽く目であいさつをして、ひとりでテレビの見える席につく。
間違いなく焼きたてではない、でも悪くもないパンにバターといちごジャムをぬって、ぱさぱさとしたスクランブルエッグとゆでたソーセージ。
いつもはコーヒーを飲まないのだけれど、なんとなくフランス気分を高めるためにホットミルクに数滴のコーヒーをたらしてカフェオレのつもりになってみる。
昨日と同じメニューの朝食。
今日は何を食べようかな、と、迷わなくていい安心感が今は心地いい。

ひとりで旅行をしていると、食事のたびにどこで何をどんな風に食べるか考えなければならない。
ひとりで食事をするのが嫌いだから、一度面倒くさくなって食べるのを放棄してしまうと、もうずっと旅の終わりまでそれを続けてしまう。
学生時代、バリ島に恋をしてひとりで足しげく通っていた頃はすっかりその悪循環にはまってしまっていた。
朝は寝過ごして宿の朝ご飯を食べられず、お昼は屋台のスープをすすり、夜になると寂しさと疲れとでビールを飲み始めてしまい、そのまま空腹の感覚がどこかにいってしまう。
たまに現地の旅行者同士で友達になったりして、みんなで食べればなんとなく食欲がわいてきたりするけれど、結局急に食べるものだからおなかをこわしたり、胃がびっくりしてもどしてしまったりした。
そんな風に2週間も3週間もすごして帰国すると、げっそりとやせて、真っ黒に日に焼けて、旅の興奮で目ばかり光らせている私にまわりの人がびっくりする。
そうなってしまうと、もとの生活に自分を調整しながら合わせていくのにとても時間がかかる。
精神的にも、肉体的にも。
なかなか元に戻らないと、本当に戻したいのかどうかさえ、よく分からなくなってくる。
長く続けば続くほど、祖母の言っていた“戻って来れなくなる”状態に近づいていくのだと思う。

食事を終わらせて、がたがたいうエレベーターで部屋に戻り、歯を磨いて、無線LANのあるホテルに泊まるなんてもう当分ないだろうと思ったので最後にもう一度だけメールのチェックをした。
せっかくチェックしたのに特に何も来ていなくて、それは私が旅に出ると宣言したからたぶんみんなもどうせ読めないだろうと思って何も送ってよこさないのだろうけど、なんだか世界中の人が私のことを忘れ去っているような、いじけた気分になった。
そうしていじけた顔(をしてたと思う)でチェックアウトをし、タクシーをよんでもらった。
タクシードライバーはものすごく体の大きい黒人で、私のスーツケースを軽々と運んでくれた。
黒人か白人か東洋人かは別として、力の強そうな人と閉ざされた空間(というほどのことでもないけど)にいると、不安になる。
もしも何かあったとき、力ではかなわないし。
ましてフランス人じゃ話しても分からないし。
話されても分からないけど。

このドライバーもやっぱりシートベルトをするそぶりまったくなく、私は後部座席にひとりで神経症患者みたいにしっかりとシートベルトをしめ、かばんを胸に抱えた。
少し考えて、タクシーの中でひったくりはないよなあと気づき、かばんを隣に置き直した。
オルリー空港までの道は途中から渋滞の様子を見せ、私はあがり続けるメーターに気が気じゃなかった。
そういえば、ガイドブックに深夜早朝と週末はタクシーが割増料金になると書いてあった気がする。
今度から、予定が許せば空港発着は週末をはずそう、と、おそろしくけちくさいことばかり考えていた。
だって45ユーロもかかるんだもん!
いやな気分の時には、さもしい気持ちがあとからあとから、むくむくと湧いてくる。
真っ黒な入道雲。
そんな折も折、ドライバーがおもむろに自分の財布から小さなカードを取り出して、誰かの電話番号を調べ始めた。
まさかと思いきや、携帯電話を取り出してその番号にかけている。
日本だったら文句のひとつも言っているところだけれど、私の限られた経験から言って、パリのタクシードライバーに込み入った英語(電話やめて、くらいは込み入ってないけど、その理由に異議とか唱えられたら込み入るに違いない)を理解できる人はあまりいないので、見なかったことにしようと決めた。
弱気。
唯一の救いは、かかっていた音楽が私好みだったこと。
どこのラジオ局か知らないけれど、最初はジャズとアフリカンドラムをミックスした不思議な曲。それからさらりとしたインディアンポップ(ねっとりしてないインディアンポップって、今まで想像もできなかった)。中東系の曲もかかってたなあ。
ぼんやりと音楽を聴きながら空港が見えてきたところで突然彼が振り向き、ターミナルは南か西かと聞いてきた。
ターミナル?南?西?
そんな話、きいてない。
知らない知らないとパニックになりかけた私に、チケットを見せてくれと言う。
そこで始めて、彼の英語が結構流暢なことに気がついた。
あれ?
私のチケットをよくよく確かめて、ああ南だね、と南ターミナルに向かってくれた。
そこから急に色々と話をしはじめて、私がベリーダンサーでこれからイスタンブールにダンスを学びに行くこと、彼がもとソニーミュージックのボディーガードをやっていて、アメリカから来るスター達の護衛をしている間に英語を覚えたことなどを話した。
こうして少しでも他人と触れ合うと、私の心は突然軟化する。
いじをはってからに閉じこもっていた子供が、なんてことないきっかけで外にはい出してくる感じ。
はい出す本人は、結構恥ずかしい。てへ。
空港について、チップ込みで45ユーロを支払う(痛い)。
ドライバーは、次にパリに来る時はパリを案内するから電話してくれと名刺をくれ、私はもしかしたらねと言って笑顔で受け取った。
もう絶対に二度と会うことのない彼が、突然とても良い人に見えた。
彼は再び軽々と私のスーツケースをおろしてくれて、イスタンブールで良い旅をね、ベイビー、と言ってくれた。
ありがとうと礼を言い、そういえば、車の中でかかってた曲どれも好きだったわ、と伝えた。
“それはよかった。さっき電話してただろう? あれ、ラジオ局にリクエストしてたんだよ。”
彼はそういって、笑顔で車に乗り込んだ。

ほおおおお。
まさか、タクシードライバーがお客を乗せて運転中に、片手運転しながらラジオ局にリクエストの電話をするとは思わなかった。
なんだかもう、笑うしかない気がして、ひとりで笑ってしまった。
恐るべし先進国フランス!

空港に入りトルコ航空のカウンターに行くと、ざわめくトルコ人の群れがいて驚いた。
パリ中のトルコ人が集合したのかと思った。
ああびっくりした。
搭乗口に行くと、人々が入口をぐるりと囲んで入るのを待っている。
これも日本だったらみんなお行儀よく一列に並んでいるところなのに。
砂糖菓子に群がる蟻みたいにわらわらと集まって、なんとなくぞろぞろと入っていく。
これは、フランス流なのかトルコ流なのか。
機内に入っても、なんだかみんなそわそわと落ち着かない。
立ったり座ったり、トイレに行ったり新聞をもらいに行ったり。
落ち着かないフライトではあったけれど、唯一よかったのは座席の前後が日本のそれよりゆったりとしていたこと。
さすが、ビール腹大国トルコ。
エコノミーにしてはゆったりと足を伸ばして、センチメンタルな吉本ばななの小説を読んで、ちょっぴり泣いた。
タヒチ行きたい。

イスタンブールの空港に着き、母に携帯メールで無事に着いたことを知らせた。
それから少し考えて、彼にもメールを入れた。
母からの返事は、すぐに来た。
無事についたのを知って嬉しい、良い時間をすごせることを祈っている、と書かれていた。
彼からの返事は来ない。
今頃、私の知らない女の腰を抱いてタンゴを踊っている頃だ。
お決まりの、タンゴの後の夜食とお酒に、今夜はどの子を誘っているのだろう。
そんな彼のいつもの予定を知っていてメールを出したのは、自分を戒めるため。
こうして遠く離れた土地にいてさえ、すぐさま今頃何をしている頃だと彼の予定を素早く計算してしまうから、いつまでたっても心がどこにも定まらない。
そんな風だから、いよいよトルコに着いたというのに、特に何の感慨も湧かないままでいた。
なんだか今までずっと、こうして空港から空港へと意味もなく渡り歩いてきたような、これからもずっと淡々とそれを続けていくのではないかというような、非常にからっぽな心のまま、黙々と入国し、荷物を受け取り、必要な買物をすませて、現地の通貨を手に入れ、タクシーに乗り込んだ。
やることがあるというのは、いいことだ。

トルコでは知人の姪御さんであるアスリという女性の家に泊めてもらうことになっている。
インターネットを通してテレビ電話で話したことがあるけれど、会うのは初めて。
実は結構、面倒くさくなっている。
こんなにふらふらとした気持ちのままで、知り合いの知り合いなんていう微妙な関係の人に会って、世間話をして、気を使いながら滞在するなんて、考えただけで面倒くさくなってきた。
やっぱり出費を覚悟してもホテルをとっておけばよかったと後悔しきりとなっていた頃、目的地に着いた。
彼女のオフィスがフォーシーズンホテルのすぐ目の前だというので、フォーシーズンホテルに連れていってもらったのだけれど、着いたよと言われて目を上げると、そこにあるのは黄色く塗られた壁がかわいいものの、ヨーロッパのプチホテルのような小さな建物。
あれ?と思ったけど、よく見ると確かに入り口には小さなFour Seasons Hotelの看板が。
質の良さそうなウールのロングコートを着たドアマンが、笑顔でタクシーのドアをあけてくれた。
"Welcom to Four Seasons Hotel!"
“ここに泊まれたら嬉しいのですけど…”
とにっこりと笑って謝ろうとしたとたん、脇から
”ヤスミーーーーン!!!”
と顔からはみだしそうな笑顔で、トルコ人らしくたっぷりと豊かな体をゆすってアスリが立っていた。
それを目にした途端
“アスリ!!!”
と叫んでタクシーから飛び出し、彼女の首にしがみついていた。

ああ、私やっぱり、心細くて、寂しくて、結構つらかったんだな。

ひとりになりたいと思ってたけど、本当は、こんなにも、誰かの近くにいたかったんだな。
思えばこの旅行に出てから、というか、こ数ヶ月の間に、こんなにもしっかりと誰かにハグされたのは久しぶりだった。
かわいそうに、でもなく、打算的な欲望から、でもなく、自分も寂しいから、でもなく、ただ単に、会えて嬉しいというシンプルな表現。
日本からうんと離れた地で、見知らぬトルコ人に抱きしめられて、泣きそうな自分がちょっとかわいそうだった。

それから彼女のオフィスに行って、彼女の7歳の弟エフェと生後3ヶ月の子犬ハチャンを紹介してもらった。
それから3人と一匹で彼女の旦那さんのやっているカフェに行って、屋台で買ってきたムール貝をがつがつと食べて、家に帰った。
新婚7ヶ月という彼女達のアパートはびっくりするほど広くて、バルコニーからはマルマラ海とブルーモスクがちょっぴりずつ見えた。
私のために用意してくれたゲストルームにはピンクと紫のソファーベッドがあって、彼女の好きな色がピンクだと分かった。
彼女は大きな体を思いのほか素早く動かしてピンクの方のソファーベッドを開き、ピンクのベッドシーツとピンクのバラ模様のかけぶとんとピンクの枕を持ってきてくれたので、まるでふざけたラブホテルにいるみたいなだった。
ここにひとりで寝なければならないことが残念。
アスリがベッドを作ってくれている間、バスルームで水の音がしたので振り向いて見ると、エフェがパンツ一枚でシャワーを使っていた。
シャワーが終わった後にバスルームに入ると、シャワーの時にはいていたパンツがタオルの隣に干してあった。
以前にインドネシアで5歳くらいの女の子が洋服をきたまま海に入って遊んでいたのを思い出して、どんなに小さくてもイスラム教徒なんだなあとしみじみと思った。

この夜私は3日ぶりによく寝た気がする。
ホテルではよく眠れなかったのに、誰かの家だと、自分の家じゃなくてもよく眠れるのだなあ。
やっぱり、不特定多数の人が出たり入ったりする場所にはものすごく雑多なエネルギーがずんずんとたまっていくのではないかと思う。
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PROFILE:
慶応義塾大学文学部卒業後、出版社勤務、オーストラリア留学、広告代理店勤務を経て2007年にトルコにダンス留学。プロダンサーになって現在に至る。
全ての女性たちが、もっと自由に、もっと美しく、そして自分のなかに存在する愛に深く気づきますように、祈りをこめて踊り続けます!
2004年より都内を中心として活動。2011年に岡山市内にベリーダンススタジオ Chez Yasmeen Okayamaをオープン。2013年に東京・麻布十番にベリーダンススタジオ Chez Yasmeen Tokyoをオープン。2015年に第1子出産。2015年に岡山校をクローズ。麻布十番のスタジオを拠点として、レッスン及びショー活動に励む。
産後はママのための子連れベリーダンスクラスも積極的に開講するなど、輝くママたちを応援!
第2子妊娠のため、2017年より2度目の産休に突入中。


Work like you don't need money
Love like you've never been hurt
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